惑星ネオタール。

地球とほぼ同じ位の大きさで、古代ここに住む人々は、ついに自然と共有する術を見つけた。

自然と心を通わせる方法を見つけ、自然の力をそのまま生かす方法だ。

その事が出来たのは、ほんの一部の特別な人々だけで彼らは不思議な力を手に入れた。

彼らは自然から教わった人間と共有して生きていく方法を、他の人々にも教えて回ったのだ。

 

 

それから600年の月日が流れた。

人々は現在でも昔伝わったこの方法で
自然の力を得て暮らしている・・・。

 

 

 

SIRENT WEAPON  〜第一章  予兆〜

 

 

「だ・か・ら! 謝ってるじゃないかぁ。な?リョウ機嫌直せよ。」

放課後の帰り道、ノアのおちゃらけた声が聞こえる。

その横で黒髪の少年、リョウは軽く横目で友人を睨んだ。

「ほら、お前結構村の子から告白されてんのに全然OKしないからさ!やっぱ理想が高いとか思っちゃったりする訳よ!」

・・・本当に謝る気はあるのだろうか。そんな気持ちをみじんも感じさせない

この友人を見てリョウは深く、それは深くため息をついた。

「それで?」

「それで、お前の心の中がつい夢に出ちゃったのかなっていうのが俺の仮説!」


  仮説って・・・・。

と、リョウは内心ツッコミを入れる。左手裏手ツッコミだ。

あれからリョウは帰るまでノアに質問攻めだ。どんな子が好みだとか、村の子でいうなら誰だとか。

もう半ば無視の方向で適当に相槌を打ったりしてる。こういうのは流しているのが一番いい。

 

「ま、いいじゃん♪ 村の学校一の秀才、リョウ・コルトット。授業中女の子の

夢を見る〜♪ ってね。」

「!! ノア!!」

あくまでからかうノアに対してリョウはとうとうため息をついた。限界値だ。

もう、やめてくれ頼むから・・。

リョウはノアの言うとおり成績がいい。でも、リョウ達の住んでいる村は

本当に小さな村だから、自分より頭のいい人は沢山いる・・というのがリョウの言い分。

それに実際は・・

「だいたい、ノア。僕、総合成績では4番だよ。」

「総合で、だろ?俺は知ってるぜ!! お前の体育の成績が破滅的だということを!」

「破滅的じゃない・・・体育の総合テストの時に僕が欠席したの知ってるだろ?」

「健康も実力のうち!」

「・・・・おい。」

 

ノアはきっとあの夢を気しないようにわざとこんな風に言ってるのは分かる。

その証拠に時々労わるような視線を向けてくるから。

だけど、それとこれとは話が別だ。

なんだかこの会話を聞いてるほかの友人がいたら明日の教室で話題になってる可能性も高い・・・。

こんなに小さい村だ。学校に広まるイコール村中に広まると言ってもいい。

 

「ままま、怒るなよ。リョウ君や。ところで、明日のテスト、一緒に勉強しようぜ?明日の地理学は俺、前回破滅的な点数でさぁ。今回頑張らないと危ないんだよねぇ。」

ノアはのほほんと笑い、リョウの腕をつかんでひっぱっていった。

リョウはやれやれといった思いで息を吐いたがすぐに笑顔になった。

そう、これがいつものパターン。彼はこの空気が好きだ。

冗談を言いながら笑って喧嘩して、また笑って。

平凡だけど、こういうのが一番いい・・。

 

 

 

平和だった。こんな日常がずっと続くものだと思っていた。

 

 

 

 

人々も寝静まっている午前、2時。

予兆は突然起こった。

 

木々はうねり、風が吹き荒れる。まるで隕石が落ちたのではないかという衝撃が大地に

走った。ぐっすりと眠っていたリョウはその衝撃でベッドから投げ出された。

「な、何!?」

体を激しい衝撃が襲う。柱に捕まっていないと立っていられなかった。

やっと体勢をたてなおして、彼は外に出た。ふらつく体を支えながら足を進める。

外には特に変わった様子もない。窓辺に置いていた植木鉢すら倒れてはいなかった。

「・・・なんで。あんなに大きな地震だったのに・・。」

考えていると再び足元を衝撃がおそう。リョウは慌ててしがみこんで辺りを見渡した。

窓辺に置いてある植木鉢も、花壇に咲いている花も、倒れていない。

風が強く吹いているのに、花も揺れない。なら、この衝撃はなんなのだろう。

まさか、この衝撃を受けているのは自分だけなのか?

リョウは急に不安を覚えた。

衝撃が収まり、体が動けるようになるとリョウは遠くから自分を呼ぶ声を聞いた。

人影はどんどん大きくなる。見慣れたあの顔。

寝起きなのだろう、ボサボサ頭でノアが駆け寄ってきたのだ。

 

「凄かったよな!リョウ、今の地震!!」

「え?ノアも感じたのか?」

「あったりまえだろ! 感じない方がおかしいって!! 俺立っていられなかったぜ?」

ノアは興奮と驚きが入り混じった表情で話す。

ノアも今の衝撃を感じ取ったということを知り、リョウは少し安堵した。

一息つくとノアは少し顔を曇らせて言った。

「それよりリョウ!! 村長が呼んでる。来いよ。」

 

村長が・・・?

彼が自分に用なんて珍しい。そう思いながらリョウは彼の後に続いた。

何か言い知れぬ不安が彼を襲った。

 

 

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